エキノコックス症(原因・症状・治療) -肝機能障害を引き起こす病気
北海道には、エキノコックス症という、道外ではあまり見られない病気があります。この病気は、エキノコックスという名前の寄生虫が主に肝臓に寄生しておこる病気で、道内では毎年、数十名の患者が見つかっているようです。
エキノコックス症の原因
エキノコックスの卵に汚染された山菜や沢水などを直接口にしたり、卵が付着した手指を介して感染して、野ネズミと同様にエキノコックスの幼虫が肝臓に寄生します。エキノコックスの卵は、直径0.03mmの球体で肉眼では見えませんが、十分な加熱や水洗い(手洗い)で、感染を予防することができます。人にエキノコックスが感染しても、すぐには自覚症状が現れず、数年から10数年の潜伏期を経て、上腹部の不快感や膨満感が現れ、しだいに肝機能障害に伴うだるさや黄疸等の症状が現れ、放っておくと肺や脳に病巣が転移したり、命にかかわることもあります。
エキノコックス症の症状は?
病気の進行につれて、多包虫が大きくなり緩慢に増大し、周囲の臓器を圧迫させます。多包虫病巣の拡大は極めてゆっくりで、はじめ上腹部の膨満・不快感などの不定症状のみで、肝機能障害は現れませんが、進行すると肝臓機能不全となり、腹部症状が強く、発熱・黄疸がみられます。症状が出始めても、治療等をせずに放置すると約半年で腹水がたまり、やがて死に至ってしまうこともあります。あまり耳にしない病気ですが、世界における患者数は推定10万人~30万人いるとみられ、北海道では人の感染者が次々に発見され危険な病気とも言えるでしょう。