食道静脈瘤について(症状・治療等) - 肝硬変の合併症

食道の粘膜下にある細い静脈が瘤(こぶ)のようにふくれて拡張し、でこぼこに蛇行した状態の病気です。瘤が破れると大出血して、吐血、下血が生じ、手当が遅れると出血性ショックを起こして死亡することもある、怖い病気です。

 

 

食道静脈瘤の症状は?

小さなうちは症状は特にありませんが、肝臓の病気、特に肝硬変と診断されている方は、定期的な食道の検査が必要なようです。全身流れた血液は、肝臓に一度集まります。しかし、肝硬変などの肝臓の病気がある場合、肝臓にたくさんの血流が戻れなくなります。肝臓に戻れなくなった血液は、抜け道を求めて肝臓のまわりの細い血管に流れていきます。食道の細い血管にも、肝臓に戻れなかった血液があふれて流れ込んできます。本来、細かった血管も、流れる血液の量が多くなると次第に太くなり、コブ状に膨れます(これを静脈瘤と呼びます)。食道静脈瘤で、程度の軽いものは特に心配ありませんが、大きくなると、食道粘膜の壁が破れて、突然大出血につながることもあるようです。

 

食道静脈瘤の治療等

食道静脈瘤の治療にはさまざまな方法があります。その選択には、緊急時(吐血や下血)か予防的かどうか、患者さんの肝機能を含めた全身状態などを考慮して決めます。薬物療法では、門脈圧(消化管から肝臓へ流れる血管が詰まることで上昇)を下げる薬を使います。緊急治療では、出血による全身状態の安定を図ることが大事です。輸液にて循環血液量(全身をまわる血液量)の維持や、出血に応じて輸血なども施行します。そして、出血部位を調べるために、緊急で内視鏡検査を行います。静脈瘤の破れている部位が見つかったら、とりあえず止血をした後に、後日残った静脈瘤をきちんと治療します。予防治療では、療静脈瘤が破裂や破れる前に治療を施します。EVL(内視鏡から、輪ゴムを使って静脈瘤を縛ってつぶします)やEIS(血管内を硬める物質を静脈瘤に注射します)通常は、これらの治療を組み合わせて行うのが一般的なようです。

 

食道静脈瘤の 肝硬変による合併症

肝硬変や肝臓癌により肝細胞が硬くなると、機能している血管が減少するため、肝臓の中への血液の流入量が低下します。 ようするに肝臓が血液を受け入れられなくなった状態ですが、血液は次から次へと肝臓に向かって流れ込もうとします。 その結果、血液は他の行き道を探すのですが、この時に食道静脈に向かって血液は逆流し、静脈瘤を形成します。この状態が続くと徐々に静脈瘤は大きくなり、いずれ破裂するわけです。 静脈瘤の破裂は、命を落としかねないものです。そうゆうわけで、食道静脈瘤は、肝硬変や肝臓癌の合併症として恐れられているのです。
人生の幸せは肝臓で決まる