エタノール局注療法- 肝臓がんの治療

腹部を切開するなどの大規模な外科的手術が必要なく、身体への負担が少ない治療法です。腹部、または胸部から肝臓に針を刺して、患部にエタノール(アルコール)を注入して癌を凝固させ死滅させるしまうのです。

 

 

エタノール局注療法とは?

お腹などから細い針状の電極を刺し、その先端を肝臓の中の腫瘍に届かせて、マイクロ波(電磁波)を照射して熱を加え、腫瘍とその周囲の組織を固めて壊死させる法です。エタノール注入療法が、アルコールで固めて壊死させるのに対して、これは熱を使って行う方法です。マイクロ波発生装置は、肝臓の切除などに使われてきましたが、これを肝臓癌の治療に応用したものです。数があまりに多いと難しいですが、大きいものがいくつかという状況であれば、大きいものだけとか特定のものだけを焼いて効果が得られる場合もあります。ですが、小さいものがたくさんとなりますと、うまく腫瘍が焼けないことがあるようです。

 

エタノール局注療法での肝臓癌治療

エタノール注療法は、超音波画像で癌の位置を確認しながら体外から100%エタノール(純アルコール)を肝臓癌の部分へ注射して、アルコールの化学作用によりがん組織を死滅させる治療法です。 エタノールにはタンパク質を凝固させる作用があり、エタノールを注入された癌細胞は瞬時に固まって壊死します。 問題点としては、体内の直接見えない部分にあるがんの位置をいかに正確に把握しエタノールを接触させられるか、 癌以外の部分へのエタノールの接触を最小限にとどめ副作用を抑えられるかが重要になってきます。 また、エタノールは正常な肝細胞も破壊してしまうため、多量のエタノールを注入してしまうと広範囲にわたり肝細胞が 壊死してしまい肝臓の機能が失われてしまいます。ですから、肝癌が超音波画像で見えにくい場合や、 癌が肝臓内部の重要な血管に接している場合にはアルコール注射が安全にできないこともあり、すべての場合で可能ではないようです。 

 

エタノール局注療法での肝臓癌治療の副作用

エタノール注療中や注療後に、痛みを訴えることがあるようです。特に治療が終了して針を抜く時、肝臓の表面には知覚神経があるので、かなりの痛みを感じるそうです。他には、治療終了後にエタノールが吸収されて、短時間でさめますが、酔った気持ちになるそうです。治療後に発熱したり、肝機能の値が一過性に少し悪化することもありますが、心配はいりません。しかし、注入したエタノールや針穴から漏れたエタノールで、正常な肝細胞が壊死を起こし、そのあとに線維化して肝臓が萎縮してくることがあります。繰り返しエタノール注入療法を行ったため、肝機能が著しく低下したという例もあり、安全という言葉を妄信することは危険と言えるでしょう。
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