マイクロ波凝固療法- 肝臓がんの治療

エタノール注入療法同様、超音波画像で肝臓癌(腫瘍)の位置を確認し、お腹から、癌細胞に特殊な電極の針を刺し、マイクロ波(電磁波)を発信する事で電極の周囲を高温にし、癌細胞を熱で焼き切ってしまう療法です。

 

 

マイクロ波凝固療法とは?

お腹などから細い針状の電極を刺し、その先端を肝臓の中の腫瘍に届かせて、マイクロ波(電磁波)を照射して熱を加え、腫瘍とその周囲の組織を固めて壊死させる法です。エタノール注入療法が、アルコールで固めて壊死させるのに対して、これは熱を使って行う方法です。マイクロ波発生装置は、肝臓の切除などに使われてきましたが、これを肝臓癌の治療に応用したものです。数があまりに多いと難しいですが、大きいものがいくつかという状況であれば、大きいものだけとか特定のものだけを焼いて効果が得られる場合もあります。ですが、小さいものがたくさんとなりますと、うまく腫瘍が焼けないことがあるようです。

 

マイクロ波凝固療法

マイクロ波凝固療法は、まず超音波で腫瘍の位置を確認し、マイクロ波電極を刺し入れる場所と方向を決めます。刺す場所に局所麻酔をして誘導装置を刺し入れ、この誘導装置を通じてマイクロ波電極を腫瘍に到達させます。電極からマイクロ波を80ワットで60秒間照射します。その後、電極と誘導装置を抜く際、傷口にマイクロ波を短時間照射すると、止血することができるそうです。さらに、刺す場所をかえて数回これを行い、腫瘍とその周囲の組織を完全に凝固させます。約1週間後にCT検査を行い、効果を確認します。これはエタノール注入療法と同じく、患者さんに対する負担が少なく、比較的簡単に行える療法なようです。

 

マイクロ波凝固療法での肝臓癌治療の副作用

どのような治療にも、副作用や合併症の発生の危険性はあります。合併症対策を考慮した上で治療を行ないますが、それでも合併症を回避することができない場合があります。主な例としては、発熱:組織が熱凝固壊死されることに対する生体反応として発熱が生じると考えられ、治療後に発症するようです。出血:治療が終わって波電極針を肝臓から抜いたときに起こります。治療後のしっかりとした管理が重要なようです。火傷:大腿部に貼る対極板の損傷や劣化により生じる小範囲の皮膚の火傷。また、直接腫瘍に刺して組織を焼灼する針が損傷している場合は、その針の穿刺経路に小範囲に火傷を発症する場合があり、治療中に発生します。疼痛:治療中に多く発症します。治療部位や個々の患者様によってその疼痛の度合は異なります。鎮痛剤や麻酔薬などを用いることにより、ほとんどの症例で痛みを抑制することができるそうです。
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