冠動脈塞栓術- 肝臓がんの治療
局所療法である肝動脈塞栓療法でがんを叩くことです。肝臓癌は、肝動脈から栄養を摂取することで増殖しています。そのため、栄養源となっている血管を塞いでしまえば、がん細胞を壊死させることができるのです。
冠動脈塞栓術とは?
塞栓療法は、肝臓がんを栄養する動脈を詰めて、兵糧攻めにする治療です。それ以前には、手術で肝動脈を縛る治療法がありましたが、足の付け根から細い管(カテーテル)を挿入し、動脈を詰める物質(塞栓物質)を注入します。肝臓は門脈と肝動脈のふたつの血管に栄養されていますが、肝癌の組織はほとんどが動脈からの栄養であり、この動脈に塞栓物質を流し込むことによって腫瘍の死滅をねらいます。癌以外の正常肝組織は動脈血流が絶たれても門脈からの血液で栄養されるため、障害を受けにくく、また、詰めた動脈は比較的早くに血流が通るようになります。塞栓術は、治療効果の点からは、肝切除術、ラジオ波焼灼療法に次ぐ3番目の治療法と位置づけられます。二つの治療法が当てはまらない場合、あるいは肝切除術、ラジオ波焼灼療法の治療法と組み合わせて行われるよです。
冠動脈塞栓術
血管を塞いで肝臓は大丈夫なのか、という疑問が出てくるかと思いますが、心配はないです。肝臓への栄養供給のほとんどは、門脈という場所からおこなわれているので、肝動脈を塞いでも大丈夫なのです。治療ですが、局所麻酔をする→足の付け根からカテーテル(先端に薬剤をつけた細い管)を肝動脈まで挿入→造影剤を注入して血管の位置を確認→塞栓物質であるリピオドール、ゼラチンスポンジを注入して肝動脈を塞ぐ→カテーテルを抜く→効果を確認して場合により再治療します。癌はおよそ1ヶ月で壊死することになります。体内に注入された薬剤は、約4週間で自然に血管から吸収され、やがて体外に排出されるようになっています。