AFP-L3分画について -肝臓がんを調べる腫瘍マーカー
肝細胞癌と診断され、治療を行った際、AFP-L3画が陰性化しない場合には、腫瘍の残存している可能性が極めて高く、陰性化しても再び陽性化する場合は再発の危険性が高くなります。
AFP-L3分画について
AFPは、慢性肝炎や肝硬変などの良性疾患でも上昇することから、AFPのみでは良性肝疾患と肝細胞癌の鑑別は困難なことが多く、AFPの経時的変化で上昇を確認するか、AFP-L3画を相補的に測定する必要があります。また、根治療法を行ったと考えていても陰性化しない場合は、病変が残存していると考えられる。一方、そもそも陰性だからといって肝細胞癌の存在を否定できるものではないようです。ただし、AFP-L3画はAFPに比べて肝細胞癌に特異的ですが、絶対的なものではなく、劇症肝炎や肝硬変の再燃、重症化によっても上昇するため、留意しなければなりません。
AFP-L3分画が陽性になるわけ
AFPは胎児期に肝細胞がつくる血清タンパクで、生後1年以内にほとんど産生されなくなるが、肝細胞ガンの一部では、再びAFPの産生が亢進し、血清中の値が上昇するので、肝細胞ガンの1つの指標となる。しかし、すべての肝細胞ガンで陽性となるわけではないので、AFPが正常範囲であっても肝細胞ガンを否定することはできない。また、活動性の高い慢性肝炎や肝硬変でもAFP値は上昇するので注意すべきである。タンパク質のレクチンとの親和性が、ガンから産生されるAFPとガン以外の細胞から産生されるAFPで異なることがわかり、アガロースにレクチンを付けてゲルをつくり、電気泳動して移動度の差によって分画を区別することができるようになった。ちなみに、肝細胞癌以外で上昇することがほとんどないため、AFP-L3分画が上昇している場合には、AFP-L3分画が陽性になるといわれております。
AFP-L3分画、癌の関係
AFP分子上の糖鎖の癌性変化を、レクチンとの親和性を利用して検出し、肝細胞癌由来AFPを分別測定する手法なようです。L1(LCA非結合性)、L2(LCA弱結合性)およびL3(LCA結合性)分画とするとき、非肝癌患者AFPの大部分がL1分画に出現するのに対して、肝細胞癌患者ではL3分画の占める比率が増加します。AFP―L3分画比率の測定は、肝細胞癌と肝良性疾患との鑑別診断、肝細胞癌の早期診断、および治療後の予後管理に有用と言われております。また、肝細胞癌以外で上昇することがほとんどないため、AFP-L3分画が上昇している場合には肝細胞癌と診断できることが多いとされています。