プロトロンビン時間の検査について(基準値や異常値の場合の考えられる疾患等) -肝機能の検査

止血作用を担う凝固因子の働きを調べる検査です。血液凝固因子にはいくつか種類がありますが、そのうちの。プロトロンビンと呼ばれる因子を中心に調べるもので、この因子は止血作用において中核的な役割を果たしています。

 

 

プロトロンビン時間の検査について

出血を止める時は、血管壁の穴に血小板がとりついて血栓をつくりますが、この血栓はそのままでは壊れやすいため、いわば糊のようなはたらきをする線維素・フィブリンという物質がくっついて、血栓をより強力に固めます。このフィブリンは血液凝固因子のフィブリノーゲンが変化してできるもので、この変化にプロトロンビンが関わっています。出血があると、まず肝臓でプロトロンビンが産生され、血管へ送られます。止血作用の途中で、プロトロンビンはほかの血液凝固因子の助けを借りてトロンビンという物質に変化し、このトロンビンがフィブリノーゲンをフィブリンに変えるのです。

 

プロトロンビン時間検査での異常値の場合の考えられる疾患

異常値があったらですが、活性化部分トロンボプラスチン時間など、ほかの血液凝固に関する検査を受けます。心臓や脳の病気の抗凝固剤が異常値の原因なら、治療のためなので、心配いりません。肝硬変などの肝臓病の場合には、ほかの肝機能検査の結果とあわせて診断を下し、その治療にあたります。ビタミンK欠乏症は危険ですからすぐに入院して、その原因を確かめなければなりません。異常な場合に疑われる病気では、急性肝炎、劇症肝炎、肝硬変、閉塞性黄疸、心不全、悪性腫瘍、ビタミンK欠乏症、プロトロンビン欠乏症、播種性血管内凝固症候群などあるようです。

 

プロトロンビン時間での肝機能の検査

血液凝固因子のうち、血管内で働くものと血管外で働くものがありますが、プロトロンビン時間は外因系の凝固因子の異常を見つけるために行なわれる検査です。外因系の凝固因子はたん白で、肝臓で合成されます。そのため、肝硬変や肝臓癌などにより、肝臓のたん白合成能力が低下すると、プロトロンビン時間は長くなるので、肝機能検査の一つとしても測定されます。心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症、心臓弁膜症、心臓のバイパス手術の時には、抗凝固剤を用いますが、過剰に投与すると血液が固まらなくなってしまい、危険が生じます。そのため、抗凝固剤をどの程度使用したらいいかを調べるための指標としても用いられているようです。
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