肝線維化マーカーのヒアルロン酸について(基準値や異常値の場合の考えられる疾患等)
ヒアルロン酸は、主として線維芽細胞や、肝で産生され、肝細胞により代謝を受けて血中から消失します。通常、生体におけるコラーゲンは産生と分解を繰り返しながら一定のバランスを維持していますが、病的条件下ではそのバランスが崩れ線維化が生じます。
肝線維化マーカーのヒアルロン酸とは?
ヒアルロン酸や型コラーゲンは、肝線維化マーカーと呼ばれ、肝線維化にともなって血中で増加し、肝線維化の程度を推測することが可能な検査です。血小板数も肝線維化の程度を鋭敏に反映し、簡便ですので日常診療で使用されています。ヒアルロン酸は肝硬変、特にアルコール性肝硬変で高値を示すことから、肝硬変と非肝硬変との鑑別に使用されます。型コラーゲンは肝線維化の比較的初期から上昇し、特に、アルコール性の肝障害時に上昇します。血小板数は正常な肝臓、肝炎、肝硬変と病状が進むにつれ減少することが報告されています。また、これらの線維化マーカーを測定することにより、線維化がどの程度進んでいるかがわかります。
ヒアルロン酸について
ヒアルロン酸は、皮膚、関節液、大動脈、腎臓、大脳、心臓など、人間の体のさまざまなところに存在するゼリー状の物質です。人間の体はいくつかの細胞が結合し合って組織や器官を形成しています。これらの器官を一定の形状に保持するための組織を結合組織といい、ヒアルロン酸はその結合組織の中の構造成分のひとつです。特に、関節においては、潤滑油の働きをしている関節液や関節軟骨に多く存在し、さまざまな働きをしています。化学的に作り出したものではなく、動物のあらゆる組織に分布している天然の成分です。鶏のトサカや牛の眼球に特に多く含まれていることは前々から広く知られていました。もちろん人間でも、目の硝子体、へその緒、関節液、皮膚などに多く存在しており、体内で必要に応じて作られているものです。
ヒアルロン酸、異常値での考えられる疾患
ヒアルロン酸は、主として線維芽細胞や、肝で産生され、肝細胞により代謝を受けて血中から消失します。正常肝ではヒアルロン酸は少量しか含まれていませんが、肝硬変の肝組織では肝の線維化が進行するため増加します。正常肝ではヒアルロン酸は少量しか含まれていませんが、肝硬変の肝組織では肝の線維化が進行するため、約5倍程度に増加します。これは肝細胞での産生増加のほかに、慢性炎症の進展により肝細胞の破壊が起こり、ヒアルロン酸そのもののが低下するためと考えられ、おもに肝疾患(慢性肝炎~肝硬変への移行期)で肝線維化の指標として血中濃度が測定されます。また結合組織や関節滑液にも存在するため関節リウマチや癌などでも高値をとることがあります。